時効撤廃によって、2000年12月に発生した世田谷一家殺害事件や1996年の柴又女子大生放火殺人事件など、平成初期を代表する未解決凶悪事件の捜査本部は現在も警視庁をはじめとする各警察本部に維持されています。
現場捜査の武器として近年飛躍的な進化を遂げているのが、DNA鑑定の最新捜査技術です。従来の微量鑑定に加え、極小の生体試料から犯人の身体的特徴やルーツを絞り込むSNP解析や、当時の遺留品に付着した極小付着物の再鑑定が最新機材を用いて日常的に行われています。捜査関係者の証言によると、「事件当時は技術的に解析不能だったわずかな汗や皮膚片からでも、最新プロファイリングによって新たな手がかりが抽出されている」といいます。
さらに、市民からの有力情報提供を促す「凶悪事件の捜査特別報償金制度(懸賞金制度)」も捜査の大きな柱です。世田谷一家殺害事件では警察庁指定の懸賞金と遺族・有志による私設懸賞金を合わせて最大2,000万円が用意されており、毎年期間が更新され続けています。
しかし、時効撤廃から15年以上が経過した現場では、「事件関係者や目撃者の高齢化」「現場周辺の再開発に伴う土地勘の喪失」といった証拠の風化という極めて深刻な課題にも直面しています。捜査員が世代交代する中で、当時の生々しい現場記録をいかに次世代へ継承し続けるかが問われています。