二代目林家木久蔵の足跡を辿るうえで、まず押さえておきたいのがその基本プロフィールと特異な入門経緯です。林家木久蔵の年齢と本名については、本名を豊田宏寿(とよだ ひろとし)といい、1975年9月29日生まれで、2026年の誕生日で51歳を迎えます。
学生時代は玉川大学文学部芸術学科演劇専攻で本格的に演劇を学んでおり、最初から落語界入りを決めていたわけではありませんでした。しかし、演劇を学ぶ過程で「一人ですべての登場人物を演じ分ける落語」の奥深さに改めて魅了され、1995年10月、実父である初代林家木久蔵の門を叩きます。世間からは「親の七光り」と見られがちな環境でしたが、入門後は前座名林家きくおを名乗り、寄席の楽屋仕事や師匠たちの身の回りの世話など、厳格な下積み生活を徹底的に経験しました。
1999年5月に二ツ目へ昇進したきくおは、持ち前の明るいキャラクターとフットワークの軽さを活かして頭角を現します。そして大きな転機となったのが2007年9月、林家きくおの真打昇進です。この際、落語界の歴史でも前代未聞の林家木久蔵襲名の経緯が世間を大きく驚かせました。父である初代が「林家木久扇」へと改名し、同時に息子であるきくおが「二代目林家木久蔵」を襲名するという、史上初の親子ダブル襲名を敢行したのです。
当時、記者会見で木久扇が語った「自分が生きているうちに息子の晴れ姿を見届け、看板を譲りたかった」という言葉は演芸ファンに深い感銘を与えました。一般社団法人 落語協会に所属する二代目木久蔵は、単に看板を継承しただけでなく、伝統芸能における新たな事業継承モデルを示したパイオニアと言えます。