万座温泉の発展は、日本のリゾート文化の歩みそのものと言っても過言ではない。かつて堤義明氏の力強いリードのもと、西武ホールディングス(旧西武鉄道グループ)は全国各地に先進的なレジャー施設を開発した。プリンスホテルズ&リゾーツの旗振りのもと、万座は一躍「スキーヤーの聖地」として全国にその名を知らしめることになる。
1980年代後半、映画『私をスキーに連れてって』のヒットとともに若者たちが雪山へと押し寄せた時代、万座のゲレンデとホテル群は青春の象徴だった。時代が変わり、日本の観光・ホテル業が「アクティビティ中心」から「ヘルスケアや本物志向の温泉滞在」へとシフトする中で、万座高原ホテルは昔ながらの温かいおもてなしと良質な湯を守り、今や新旧のファンが交差する稀有なリゾートへと熟成を遂げている。