ネット社会特有の無軌道な憶測は、事件後も長期にわたり独り歩きを続けました。5ちゃんねるや知恵袋、各種まとめサイトで拡散された噂の中には、明らかな誤謬や事実誤認が数多く含まれています。
もっとも典型的な誤解は、「実家が大富豪だから裏で示談が成立し、無罪放免になった」「執行猶予で服役していない」という説です。しかし、司法記録が示す通り、稲井には弁解の余地なく実刑判決が下され、刑務所への収監が執行されました。実家の経済力をもってしても、法秩序の制裁を免れることは一切ありませんでした。
また、「出所後に改名して海外へ逃亡した」「大手外資系企業に就職した」という言説も定期的に浮上しますが、これらも裏付けのない流言です。日本の戸籍法において、重大犯罪の前科者が社会的追及を逃れる目的での改名許可を得ることは極めて困難です。過激なインフルエンサーとして知名度を誇った過去が裏目に出て、その顔写真は全国民に知れ渡っており、身元を隠して一般社会で生活すること自体が過酷な制約を伴っています。