2010年代初頭のコミックマーケットをはじめとする同人イベントにおいて、イカ娘は一大ムーブメントを形成しました。商業漫画家から新進気鋭のイラストレーターまで、膨大な数のサークルがイカ娘の同人誌や二次創作を手掛けた背景には、キャラクターデザインの完成度の高さがあります。
青と白を基調としたミニマルな水着風コスチューム、自在に変形する触手髪、そして何色にも染めやすい無垢なキャラクター性は、二次創作者にとって格好のモチーフでした。ギャグ漫画としてのパロディはもちろん、きわどいシチュエーションを描いた作品が爆発的に流通し、pixivなどの投稿サイトでも膨大なイラストが投稿されました。
この二次創作ブームは単なるアンダーグラウンドの流行にとどまらず、作品自体の知名度を押し上げる好循環を生み出しました。ファンが独自の解釈で描く魅力的なイラストが、新規読者を原作漫画やアニメへと引き戻す強力な動線となっていたのです。