一般的に鳥肉といえば、鶏肉のような淡白でクセの少ない白身肉を想像しがちです。しかし、ペンギンの肉は鳥類でありながらまったく異なる特徴を持っています。過去の記録や生物学的知見を総合すると、その肉質は「非常に赤黒く、鉄分が強いレバーやクジラの赤身に酷似している」と評されます。
ペンギンの肉が「まずい」「強烈な臭気がある」と言われる最大の理由は、その食性と潜水能力にあります。ペンギンは主食としてオキアミや小魚を大量に捕食するため、体脂肪に魚油特有の酸化した臭みやトリメチルアミンが蓄積します。皮下脂肪は極めて分厚くオイリーで、これが「魚臭さと脂っこさの元凶」となります。
さらに、氷点下の海中深くへ長時間潜水するために、筋肉中に酸素を蓄えるタンパク質「ミオグロビン」が過剰に含まれています。このため、肉の色は牛肉以上に黒ずんだ赤色となり、口に入れると強い血生臭さと金属的なレバー臭が鼻を突くのです。脂肪を完全に削ぎ落として調理しなければ、脂の生臭さと筋肉の鉄臭さが混ざり合い、現代人の舌には耐え難い風味となります。