こうした歴史的肖像画の鑑賞と研究は、文化財を取り巻く技術革新によって新たな次元へと突入している。東京国立博物館をはじめとする主要施設では、所蔵される貴重な古画の超高精細デジタルスキャンや、蛍光X線分析を用いた顔料解析が急速に進む。
博物館・文化財関連産業が主導する先端テクノロジーは、絵の具の層の下に隠された下絵の修正跡や、経年劣化で肉眼では見えなくなった微細な筆致までも白日の下に晒した。例えば、探幽周辺の絵師たちが家康の耳たぶの形や眉の角度をいかに微調整し、威厳を演出していったかの生々しい痕跡が可視化されている。
デジタルアーカイブの公開により、研究者だけでなく一般の鑑賞者も、肉眼を超える解像度で武将の「演出された顔」を観察できる時代が到来した。