三重県の高校野球界を長年にわたり牽引してきた三重高等学校の歴史を語るうえで、伝説的な名将・沖元吉監督の存在は絶対に外せない。1969年の春、全国の強豪を薙ぎ倒して全国制覇を果たしたあの歓喜の瞬間は、今なお同校の精神的支柱として語り継がれている。泥臭くとも最後には競り勝つ姿勢は、この時代に確立された。
また、後にプロの世界でも活躍した水谷啓昭氏をはじめ、数々の優れた球児を輩出し続けてきた育成システムも特筆すべき点だ。個々の才能だけに頼るのではなく、チーム全体の戦術理解度を高める指導方針が脈々と受け継がれている。伝統の重みを糧にしながらも、現代野球のスピード感に即したトレーニングを取り入れる柔軟さこそが、名門であり続ける理由なのだ。