カタカナやひらがなで表記されることが多い言葉ですが、本来の漢字表記は「盆暗」と書きます。語源を遡ると、江戸時代から明治初期にかけて隆盛を極めた裏社会の「丁半博打」に行き着きます。
賭博の場においてサイコロを振る器やゴザのことを「盆(ぼん)」と呼びます。この「盆」の上で繰り広げられる勝負の流れや相手の心理、イカサマの気配などをまったく察知できず、暗闇にいるかのように見通しがきかない様を「暗い(くらい)」と形容しました。つまり、「盆(勝負の場)の動きに暗い人間=盆暗」と呼ばれたのが直接の由来です。
賭場では、勝負勘が鈍くカモにされ続ける客だけでなく、客の動きを捌ききれない未熟な胴元(仕切り役)に対しても嘲笑混じりにこの隠語が使われていました。これが次第に市井へと広がり、「何をやらせても勘が鈍く、要領を得ない人物」を指す一般名詞へと転じた歴史的経緯があります。