「浴衣で行ける場所」と「着物でなければならない場所」の判断基準は、その空間が求める格式にあります。浴衣のルーツは平安時代の貴族が蒸し風呂で着た「湯帷子(ゆかたびら)」にあり、江戸時代に庶民の湯上がり着や寝間着として広まりました。つまり、歴史的な位置づけは「ラフな部屋着・リゾートウェア」です。
そのため、花火大会の着こなしマナーとしては浴衣が最適解であっても、結婚式、結納、入学式・卒業式、クラシック音楽のコンサート、高級フレンチレストランといった場に浴衣で出席するのは明確なマナー違反となります。
格式が求められる場では、訪問着や付け下げ、色無地といった正絹(シルク)の着物に袋帯や名古屋帯を合わせ、足袋と草履で正装するのが鉄則です。一方、ビアガーデンや下町の散策、近所のお祭りなどでは、軽やかで涼しい浴衣ならではの開放感を楽しむのが粋な過ごし方といえます。