健康情報が氾濫するWeb空間やSNS上では、「上が140を超えていなければ薬を飲む必要はない」「下が少しくらい高くても命に別状はない」といった根拠のない言説が散見されます。しかし、循環器内科の専門医らは口を揃えてこの認識の誤りを指摘しています。
末梢血管に常に高圧がかかっている状態は、ホースの先を指で強く絞って水を出し続けているようなものです。ポンプである心臓は、細く狭まった血管へ無理やり血液を送り込むために強い力で押し出し続けなければならず、やがて心肥大や心機能の低下を招きます。
また、全身の中で最も細い毛細血管が密集している臓器が「腎臓」と「網膜(目)」です。末梢血管の圧力が高い状態を放置すると、腎臓の糸球体が破壊されて老廃物をろ過できなくなる慢性腎臓病(CKD)へ進行したり、眼底出血を引き起こしたりする危険性があります。「上が高くないから安全」という理屈は医学的に完全に破綻しているのです。