この地域を語るうえで欠かせないのが、文豪・太宰治とのゆかりだ。太宰は昭和13年に御坂峠の天下茶屋に滞在し、昔話「カチカチ山」を独自の視点でユーモラスかつ切なく翻案した短編を執筆した。物語に登場するウサギとタヌキのコミカルなスタチューが店周辺の随所に配置され、かつての民話の世界観を現代に伝えている。
特筆すべきは、単なるキャラクター消費に終わらせない演出の妙だ。店舗の壁面には太宰の執筆風景や当時の河口湖の風景写真が静かに飾られ、文学ファンにとっても深い味わいをもたらしている。歴史的背景を大切に守りながらも、現代的なデザイン感覚を取り入れる柔軟性が、若い世代の知的好奇心を刺激して止まない。