1970年代から80年代にかけ、国際政治の最前線へ丸腰で飛び込み、数々の要人インタビューや直言を世に送り出した落合信彦氏。彼の筆致は常にドラマチックであり、同時に容赦ないリアリズムに満ちていた。幼い陽一氏にとって、父の部屋にそびえ立つ書棚や、日常的に交わされるスケールの大きい会話は、世界への好奇心を無制限に開放する格好の触媒となった。
父が見せたのは「自分で見、自分で考え、自分の責任で言葉を発する」という徹底したジャーナリストの立ち振る舞いだ。この「個としての自立」を徹底する環境こそが、既存の学問やジャンルの壁を容易く飛び越える落合陽一氏のしなやかな感性を磨き上げた。