リニューアルの成否を決定づけた最大の要因は、アトラクション全編を貫くテーマソング「コンパス・オブ・ユア・ハート(Compass of Your Heart)」の存在です。この楽曲には、ディズニーの音楽史を塗り替えてきた超一流の才能が惜しみなく注ぎ込まれました。
作曲を担当したのは、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』でアカデミー賞を受賞した巨匠アラン・メンケン氏です。テーマパークのアトラクション単体のために彼がフルオーケストラの楽曲を丸ごと書き下ろすというプロジェクトは、世界中のディズニーパークを見渡しても極めて異例の厚遇でした。メンケン氏特有のドラマチックで高揚感のあるメロディラインは、ゲストの不安を払拭し、一瞬で冒険の歓喜へと引き込みます。
そして、この名曲に魂を吹き込んだのが、主人公シンドバッドの歌唱を担当したミュージカル俳優の坂本健児氏です。劇団四季出身で『ライオンキング』の初代シンバ役を務めた坂本氏の圧倒的な声量と、どこまでもまっすぐに突き抜けるハイトーンボイスは、シンドバッドの誠実で勇敢な人柄そのものを体現しています。
現場取材や関係者の証言によると、日本語詞の「人生は冒険だ、地図はないけれど、宝物を探そう、信じてコンパス・オブ・ユア・ハート」というフレーズは、音響工学に基づき、ライドが各シーンを移動するタイミングと緻密に同期するよう計算されています。過酷な現代社会を生きる大人のゲストがこの舟に乗ると、思わず涙をこぼしてしまう現象が多発するのは、単なるアトラクションBGMを超えたミュージカルとしての完成度の高さゆえです。