芸能界において、血縁関係を利用したプロモーションは珍しくありません。特に兄がTHE BLUE HEARTSで国民的ロックスターとなった甲本家において、弟・雅裕が「甲本ヒロトの弟」という肩書を使っていれば、知名度の獲得スピードは何倍も早かったはずです。
しかし、雅裕が選んだのは真逆の茨の道でした。三谷幸喜氏が主宰していた「劇団東京サンシャインボーイズ」に入団した際も、数々の映画やドラマのオーディションを受け続けた下積み時代も、本名である「甲本雅裕」を名乗りながら兄の存在は一切口外しませんでした。現場のスタッフや共演者から「あの甲本ヒロトと関係があるのか?」と問われても、はぐらかし続けたというエピソードは業界内でも語り草となっています。
当時の雅裕の胸中にあったのは、「兄の偉大な名声に泥を塗りたくない」という思いと、「役者として自分自身の力だけで認められなければ意味がない」という強固な自負でした。大ヒット作『踊る大捜査線』の緒方一樹巡査部長役で注目を集め、数々の監督から「この役には甲本雅裕が必要だ」と指名される実力派バイプレイヤーに登り詰めるまで、彼は自力で実績を積み上げたのです。
雅裕がテレビ番組などで兄との関係を気兼ねなく語るようになったのは、世間が彼を「誰かの弟」としてではなく「名優・甲本雅裕」として完全に認知した後のことでした。SNSやネットコミュニティでは、この経緯を知ったユーザーから「プロフェッショナルとしての誇りが凄まじい」「お互い自立しているからこそ、兄弟エピソードが美談として響く」といった称賛の声が多数寄せられています。