甲本兄弟の表現者としての原点は、岡山県岡山市北区に位置する実家「甲本クリーニング(ドライクリーニング甲本)」にあります。昭和の街並みの中で両親が汗を流して営んできたこの店舗は、地元住民に愛される街の洗濯屋であり、ファンの間では知る人ぞ知る名所として語り継がれてきました。
自営業の家庭特有の空気感の中で、2人は過度な干渉を受けることなく、それぞれの興味を自由に伸ばす環境を与えられて育ちました。兄・ヒロト氏の若い頃の経歴を振り返ると、中学時代にパンクロックの衝撃を受け、岡山県立岡山一宮高校を経て法政大学経済学部に進学するものの、音楽への渇望から大学を中退。自らの意志で上京を決断しました。
実家の両親は、突如としてロックの世界に飛び込んだ長男を頭ごなしに否定することなく、静かに見守り続けたと伝えられています。この「過剰に縛らず、信じて放任する」という実家の家庭方針が、ヒロト氏の剥き出しの反骨心とピュアな感性を守り育て、のちに弟・雅裕氏が演劇という不確実な世界へ進む際にも大きな精神的支柱となりました。