室井の人間味豊かな感性の根底には、出身地である富山県滑川市での多感な少女時代と、複雑な家庭環境があります。旧家で生まれ育った室井ですが、幼少期に両親が離婚。昭和の地方社会ではまだ珍しかった父子家庭で育ちました。
元教師で文筆を好んだ父親との暮らしは、深い愛情に満ちていた一方で、独特の寂寥感や葛藤も伴うものでした。室井は後に自著のエッセイ集『すっぴん魂』や自伝的作品の中で、自身の名前「滋」に対する幼少期のコンプレックスや、家庭環境への思いをユーモアと哀愁を交えて赤裸々に語っています。この「欠落感を物語やユーモアで埋める」という原体験こそが、彼女の役者としての鋭い人間観察眼と、ベストセラー絵本『しげちゃん』を生み出す原動力となりました。