メンデルスゾーン「春の歌」難易度は?意外と難しい理由と弾きこなす技術

メンデルスゾーン「春の歌」難易度は?意外と難しい理由と弾きこなす技術

メンデルスゾーン「春の歌」難易度は?意外と難しい理由と弾きこなす技術について徹底解説いたします。詳細な分析をお届けします。

聴く者には春風が吹き抜けるような心地よさを与えるこの名曲が、なぜ演奏者にとっては「悪夢のような難曲」に化けてしまうのでしょうか。その理由は、メンデルスゾーンがピアノという単一の楽器の中に持ち込んだ、特殊な音響構造にあります。

1. ハープを模した「跳躍アルペジオ」と「主旋律の保持」の同居

「春の歌」最大の特徴は、ハープのつま弾きを連想させる広範な分散和音(アルペジオ)です。しかし、右手は伴奏のアルペジオを広範囲に駆け上がりながら、同時に最高音に位置する主旋律(メロディライン)を美しく響かせ、レガートで保たなければなりません。

親指から小指へと目まぐるしく重心が移動する中で、メロディとなる音符だけを適度な打鍵圧で響かせ、その他の装飾的な音はささやくようなピアニッシモに抑えるという、厳格なタッチの描き分け(フィンガー・インディペンデンス)が求められます。

2. 譜面を埋め尽くす装飾音符の罠

譜面上、無数に散りばめられている小音符(前打音)の存在が学習者のリズム感を激しく狂わせます。この装飾音符を「指先だけで速く弾こう」と力んでしまうと、テンポが前倒しになり、春ののどかさとは程遠い、せわしなく硬直した演奏に陥ってしまいます。装飾音符を拍の前に滑り込ませるのか、それとも拍頭と同時に鳴らして装飾するのかという、楽曲解釈の迷いも技術的難度を押し上げる要因です。

3. ペダリングの落とし穴による「音の飽和と濁り」

アルペジオの音をつなげようとするあまり、サステインペダルを踏み込みすぎてしまう学習者が非常に多く見受けられます。メンデルスゾーンの和声は古典派的な明晰さを保っているため、ペダルを踏み替えずに引きずると、主旋律と不協和音が混ざり合い、一瞬で「濁った音の塊」へと崩壊します。かといってペダルを細かく切りすぎれば、ハープ特有の優美な残響がプツプツと途切れてしまいます。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。