インターネット上や旅行者の間で頻繁に見受けられる、トルコに関する代表的な誤解を検証します。
誤解1:トルコの首都はイスタンブールである?
世界的な知名度や人口規模から「首都=イスタンブール」と誤認されがちですが、トルコ首都アンカラの位置は、完全にアジア側(アナトリア半島中央部)の内陸にあります。
1923年のトルコ共和国建国時、「トルコ建国の父」と呼ばれるムスタファ・ケマル・アタテュルクは、オスマン帝国の首都であったイスタンブールを捨て、アンカラへの遷都を断行しました。第一次世界大戦末期にイスタンブールが列強諸国に占領された苦い経験から国防上の安全を考慮したこと、そして旧体制の腐敗や宗教的因習と決別し、近代的な新国家をゼロから創り上げる強い意志の表れでした。
誤解2:中東の国だからアラブ諸国と同じイスラム国家?
トルコ国民の約98%以上が名目上イスラム教徒(大半がスンニ派)ですが、トルコはサウジアラビアやイランのような「イスラム法(シャリーア)を国法とする宗教国家」ではありません。共和国憲法第2条において、明確に「政教分離(世俗主義:ライクリッキ)」を国家の基本原則として定めています。
信教の自由が保障され、法律体系はスイス民法やイタリア刑法などを模範に近代化されました。都市部では飲酒も日常的に楽しまれており、女性のヒジャブ(スカーフ)着用も個人の自由です。近年は宗教的価値観を重視する保守派の台頭も見られますが、法制度としての世俗主義の骨格は現在も維持されています。
誤解3:トルコ語はアラビア文字で書かれている?
1928年の文字改革により、アラビア文字表記は全面的に廃止され、現在はラテン文字(アルファベット)が使用されています。言語系統としてもアラビア語(アフロ・アジア語族)とは全く異なり、日本語と同じ膠着語の特徴を持つテュルク諸語に属しています。