無料素材や自作デザインを活用するクリエイターたちの現場では、どのような問題が起きているのでしょうか。SNS上のコミュニティや知恵袋、プロの制作現場で実際に交わされた相談事例を調査すると、いくつかの典型的な「つまずきポイント」が浮き彫りになってきました。
中堅Web制作会社でアートディレクターを務めるA氏(実務歴12年)は、近年の無料素材トラブルについて次のように証言しています。
「『チョコレートイラスト商用フリー』という見出しを信じてダウンロードした素材をクライアントのバレンタインLPに組み込んだところ、公開直前に別の有料ストックフォトサイトの画像を無断トレースした海賊版であることが発覚し、急遽デザインの差し替えに追われました。無料素材アグリゲーションサイトの中には、投稿者の身元確認を行っていないプラットフォームも散見されるため、出所が不透明なフリー素材を商用案件で無防備に使うのは極めて危険です」
また、個人でハンドメイドスイーツの通信販売を営むショップオーナーからは、「透過PNGとして配布されていた素材を商品ラベルに印刷したら、境界線に白いギザギザ(フリンジ)が残り、パッケージの質感が台無しになってしまった」という声も寄せられています。Web上では目立たない1ピクセルの余白や背景の抜き残しが、印刷という物理的な出力媒体において致命的な粗となって現れるケースです。
制作スピードを優先するあまり、素材の提供元やデータの詳細仕様を確認せずに進行させてしまうと、結果としてクライアントからの信頼失墜や莫大なリテイク工数という高い代償を払うことになります。