海苔の佃煮レシピに関して、ネット上で広く拡散されているものの、実際には仕上がりを損ねる誤解がいくつか存在します。
代表的な誤解が「水で海苔をジャブジャブ洗ってから戻す」という手順です。粗悪な砂などが混入していた昔の原草ならいざ知らず、現代の板海苔は高度な衛生基準のもとで製造されています。水洗いをしてしまうと、海苔が保持する可溶性アミノ酸や香気成分が水側に逃げ出してしまい、出汁がらのように抜けた味わいになってしまいます。戻す工程は、必ず調味液そのものの中で行うのが鉄則です。
もう一つの盲点は「高級な一番摘み海苔を使うほうが美味しい」という思い込みです。贈答用の極上海苔は、口に入れた瞬間にとろける繊細な歯切れが特徴ですが、佃煮にすると繊維が細かすぎてドロドロに崩れ、コシのないペーストになってしまいます。むしろ、おにぎり用のやや厚みがあり歯ごたえのしっかりした普及品の海苔や、少し時間が経って繊維が締まった海苔のほうが、佃煮にした際に適度なテクスチャーと噛みごたえを残すことができます。