薬の効果が脳内のGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体を刺激して過敏な興奮を鎮める以上、付随する副作用を完全にゼロにすることは不可能です。とりわけ注意すべきは抗不安薬眠気ふらつきによる転倒や事故のリスクです。
抗不安作用と筋弛緩作用が強力な薬ほど、足元のふらつきや急な眠気が現れやすくなります。特に高齢者の場合、夜間のトイレ移動時に骨折してそのまま寝たきりにつながるリスクが懸念されており、自動車の運転に関しても添付文書で厳重に制限されています。
そして患者が最も恐れるのが「依存性」の問題です。国内外の臨床報告を総合した抗不安薬依存性ランキングを見ると、以下のような傾向が浮き彫りになります。
- 極めて高い:デパス(エチゾラム)
- 高い:レキソタン(ブロマゼパム)、ワイパックス(ロラゼパム)
- 中等度:ソラナックス(アルプラゾラム)、セルシン(ジアゼパム)
- 比較的低い:メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)、リーゼ(クロチアゼパム)
短時間で鋭く効き、飲んだ瞬間の安心感が強い薬剤ほど「常用量依存(決められた用量を飲んでいても、それなしではいられなくなる状態)」を形成しやすくなります。体が薬に慣れてしまう耐性もつきやすいため、処方期間の厳格な管理が不可欠です。