SNSやネット上のレビューでは、「オールドファッションは度数が高くて飲みにくそう」「甘くてフルーティーなカクテルだと思っていた」といった相反する評判が見受けられます。実際のところ、オールドファッションは甘味・苦味・アルコール感のバランスが極めて精緻であり、ウイスキー本来の癖を適度にマスキングしつつ芳醇さを引き立てるため、ウイスキー初心者にとっても「ストレートより遥かに飲みやすく、奥深い」と評価されています。
ここで議論を呼ぶのが、グラスに添えられたオレンジスライスやマラスキーノチェリーを「マドラーで潰して飲むべきか否か」というネット上の論争です。
結論から言えば、現代のグローバルスタンダードにおいて、フルーツは「潰さずに香りを楽しむ」スタイルが主流です。
20世紀中盤(禁酒法解除後から1970年代)のアメリカでは、粗悪なウイスキーの味を誤魔化すためにグラス内でフルーツをごちゃ混ぜにすり潰す「フルーツサラダ・スタイル」が一世を風靡しました。しかし、2000年代以降のクラシックカクテル・リバイバルを経た現在では、上質なウイスキーの繊細な風味を損なわないよう、オレンジピールの精油だけを吹きかけるエレガントなスタイルへと原点回帰しています。
もしバーでスライスやチェリーがピンに刺さって提供された場合は、まずはそのままウイスキーの香りと氷の溶け具合を楽しみ、後半に少し甘みや果汁を足したい場合のみ軽く果肉を突く程度にするのが、カクテルの構造を美しく味わう作法です。