「グリル」という単語は調理法にとどまらず、街のレストラン名や工業製品にも広く浸透しています。その語源は、ラテン語で格子や網を意味する「craticula」にあり、フランス語の「grille(格子、鉄格子)」を経て英語の「grill」へと変化しました。
老舗の洋食店で「グリル〇〇」「〇〇グリル」という店名をよく見かけるのは、明治から大正期にかけて日本に西洋料理が入ってきた際、「肉を直火で豪快に焼き上げて提供する本格的な西洋料理店(グリルルーム)」という高級なイメージが定着した名残です。網焼き肉を提供するレストランの形態そのものを「グリル」と呼ぶ文化が日本全国に根付きました。
一方、自動車の顔とも言える「フロントグリル」も、まさに格子状の網という語源通りの形状と役割を持っています。ボンネット前方に格子状の開口部を設けることで、走行風を効率よくエンジンルームに取り込み、ラジエーターを冷却してエンジンのオーバーヒートを防ぐ重要な機能を果たしています。電気自動車(EV)が普及した現在では冷却の必要性が減りつつありますが、ブランドの個性を主張するデザインアイコンとして今なお重要な役割を担い続けています。