ブランドの中核を担うデイビッド・マイヤーズ(David Myers)氏の経歴は、アメリカのガストロノミー界において極めて異彩を放っています。オハイオ州に生まれ、名門フレンチの巨匠チャーリー・トロッター氏やジェラール・ナンジェ氏の薫陶を受けた彼は、2000年代初頭にロサンゼルスでオープンしたフレンチ・レストラン「Sona」で一躍脚光を浴びました。
同店で獲得したミシュラン1つ星をはじめ、米大手料理誌『Food & Wine』で「ベスト・ニュー・シェフ」に選出されるなど、若くして最高峰の栄誉を手にします。しかし彼の真骨頂は、ひとつの場所に定住することなく、世界中を旅しながら料理の着想を得るスタイルにありました。この飽くなき探求心から、メディアや業界関係者は彼を敬意を込めて「ジプシーシェフ(旅する料理人)」と呼びます。
日本との関わりも深く、過去には銀座三越内にカフェやパティスリーを手掛けるなど、日本の食材や職人技に対する深いリスペクトを公言してきました。東京、シンガポール、香港、ドバイへと拠点を広げ、各地のローカルカルチャーを吸収しながら自らのブランドを進化させ続ける姿勢こそが、マイヤーズ氏の料理に普遍的な説得力を与えています。