不穏なネットの噂を退けて現地の生きた歴史に目を向けると、「でんでらりゅうば」が長崎の人々にいかに深く愛され、どのような経路で全国区の知名度を獲得したのかが見えてきます。
歴史的な原点は、毎年10月に開催される国指定重要無形民俗文化財「長崎くんち」です。諏訪神社の秋季大祭において、各踊町(おどりちょう)が奉納する「本踊(ほんおどり)」や「阿蘭陀万才(おらんだまんざい)」などの演目の中で、調子の良い手拍子や合いの手としてこのフレーズが歌い継がれてきました。地元では子どもからお年寄りまで誰もが口ずさめる郷土のソウルソングであり、長崎空港のロビーでは長年にわたりオルゴール調のウェルカムBGMとして観光客を出迎えています。
このローカルな童歌が全国へ羽ばたく転機となったポイントは、主に3つのメディア展開にあります。
まず、長崎出身のシンガーソングライター・さだまさしが、2006年に発表したシングル曲『がんばらんば』の間奏に「でんでらりゅうば」を取り入れ、長崎弁の圧倒的なパワーを全国のリスナーに提示しました。さらに同時期、NHK教育テレビ(Eテレ)の長寿番組『にほんごであそぼ』で手遊び歌として紹介されたことで、日本中の未就学児とその親世代に一挙に浸透します。
そして決定打となったのが、2012年に放映されたトヨタ・パッソのテレビCMです。長崎県出身の女優・仲里依紗や二階堂ふみが、車内でリズミカルに手遊びを披露しながら長崎弁を掛け合う演出がお茶の間の話題を呼び、YouTube等の動画プラットフォームでも手遊びを真似る動画が爆発的に投稿されました。
さらに近年では、2023年12月7日にリリースされた人気アイドルグループ・ばってん少女隊のシングル『ヒナタベル』のカップリング曲として、現代的なダンスポップに昇華された『でんでらりゅーば!』(作詞:Daoko、作曲:GuruConnect)が収録されるなど、クリエイターの創作意欲を刺激するモチーフとして進化を続けています。