「コレステロールの上限が撤廃されたなら、1日に何個食べても無制限に安全なのか」といえば、それは明確な誤解です。どれほど優れた食品であっても過剰摂取には相応の生体リスクが伴います。取材現場でも指摘されるゆで卵食べ過ぎのデメリットを客観的に把握しておく必要があります。
第一の注意点は、脂質異常症と卵の関係です。健康な人の約7割は体内のコレステロール調節機構が正常に働きますが、人口の2〜3割に「ハイパーレスポンダー(高反応者)」と呼ばれる体質が存在します。この体質の持ち主は、食事から摂取したコレステロールがそのまま血清LDL(悪玉)コレステロール値にダイレクトに跳ね返ってしまいます。
日本動脈硬化学会が公表している疾患別ガイドラインでは、健常者には数値制限を設けていないものの、すでに高LDLコレステロール血症や動脈硬化性疾患を患っている患者に対しては、コレステロール摂取量を1日200mg未満に抑えることを指導しています。Mサイズの卵1個には約210mgのコレステロールが含まれているため、脂質異常症の診断を受けている場合は「1日1個未満」あるいは「2日に1個程度」に抑えるのが医学的な妥当解です。
第二の盲点は、消化器官と腸内環境への負荷です。固ゆで卵を短時間に3〜5個と大量に摂取し続けると、未消化のタンパク質が大腸に送り込まれ、悪玉菌の餌となって硫化水素などの有害ガスを発生させます。SNS等で「ゆで卵ばかり食べていたらおならが極端に臭くなった」「ひどい便秘に見舞われた」というリアルな告白が散見されるのは、この腸内細菌叢の悪化と食物繊維不足が引き起こす典型例です。