「手話の日常会話なら問題なくできる」と自負するベテラン学習者ですら、手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)の壁に跳ね返される事例は枚挙にいとまがありません。手話通訳士の難易度と偏差値を他資格と比較した場合、一般的な資格難易度ランキングでは偏差値63〜65程度に位置付けられます。これは社会保険労務士や行政書士といった難関士業に匹敵する水準です。
厚生労働省および実施機関である聴力障害者情報文化センターが公表しているデータをもとに、過去の手話通訳士の合格率推移を振り返ると、過酷な現実が浮き彫りになります。受験者総数はおよそ1,000人規模で推移していますが、最終合格率は概ね10%〜15%前後。年度によっては実技試験の採点基準が厳格化し、1ケタ台(8〜9%台)にまで落ち込む波が見られます。
この試験が超難関と称される最大の理由は、「学科試験」と「実技試験」の双方が極めて高度な基準で課される点にあります。学科試験で障害者福祉や国語の深い教養を試された直後、同日または同日程で極度の緊張下における同時通訳・逐次通訳の実技審査が行われます。実技では、わずかな読み取りの遅れや誤訳、不適切な身体動作が容赦なく減点対象となり、多くの受験生が実技の足切りによって数年越しの挑戦を強いられているのが実情です。