大人のてんかんはストレスが原因?突然倒れる真相と発症メカニズム

大人のてんかんはストレスが原因?突然倒れる真相と発症メカニズム

大人のてんかんはストレスが原因?突然倒れる真相と発症メカニズムとはどんな影響があるのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。

「ストレスで倒れた」という言葉が医学的に文字通りの意味を持つケースとして、臨床現場で今極めて重視されているのが心因性非てんかん発作との違いの鑑別です。英語の頭文字を取って「PNES(Psychogenic Non-Epileptic Seizures)」と呼ばれるこの病態は、従来の精神医学でいう転換性障害(ヒステリー性痙攣)の一種に分類されます。

PNESの最大の特徴は、全身の激しい痙攣や脱力発作を起こしている最中でも、脳波検査においててんかん特有の異常棘波(スパイク)が全く記録されない点にあります。過酷なパワハラ、家族の不和、過重労働などの心理的葛藤や過度な精神的ストレスを脳が無意識のうちに身体症状へと変換し、「倒れる」という防衛反応によって耐えがたい状況から逃避しようとするメカニズムです。

真のてんかん発作とPNESを見分ける臨床上のポイントは、発作の観察所見にあります。真の全身痙攣では両目が大きく見開かれたり眼球が上転したりすることが多いのに対し、PNESでは目を固く閉じて開けようとすると抵抗するケースが目立ちます。また、発作の持続時間も真のてんかんが通常1〜2分程度で自然停止するのに対し、PNESは15分以上ダラダラと続くことがあります。抗てんかん薬を投与しても発作が止まらないどころか副作用で悪化することもあり、精神科や心身医学科との連携による心理療法が治療の軸となります。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。