ここ数年の入試で地域社会に大きな衝撃を与えたのが、室蘭栄高校普通科における定員割れの発生と低倍率の常態化です。歴史ある地域トップ校でなぜ定員割れが生じたのか、その背景には西胆振エリアが直面する深刻な人口動態が存在します。
北海道教育委員会が公表している生徒数統計によると、室蘭市および登別市・伊達市など周辺自治体の中学校卒業見込者数は、この10年で20%以上の落ち込みを記録しました。高校側の募集定員削減ペースが中学生の減少スピードに追いつかず、需給バランスが大きく崩れたことが直接の引き金となっています。
さらに、受験生の心理的な「安全志向」と「私立志向」の台頭も見逃せません。地元教育関係者は次のように内情を打ち明けます。
「昔のように『何がなんでも栄高校へ』という時代ではなくなりました。無理をして栄の普通科に入り、授業スピードについていけず下位に沈むリスクを避けるため、ワンランク落として海星などの私立特進コースで指定校推薦を狙う家庭や、地元公立の伊達開来・室蘭東翔などを手堅く選択する層が増加しています」(地元学習塾関係者)
こうした構造的要因により、普通科の倍率は1.0倍を割り込むか、あるいは1.0数倍前後の低水準が定着しました。選抜機能が相対的に低下したことで、「かつてのような難関試験を突破してきた生徒ばかりではない」という入試難易度の地殻変動が現実のものとなっています。