「パイナップルは木になるのか、それとも草になるのか」という疑問に対し、植物学的な結論は明白です。パイナップルは木(木本植物)ではなく、地表近くに葉を放射状に広げるアナナス科の多年草です。
原産地は南米のパラナ川・パラグアイ川流域とされ、先住民族によって古くから栽培されてきました。現地農場や沖縄の生産拠点を訪れると、剣のように尖った硬い葉が地面から群生し、その中央から伸びた太い茎の先端に、果実が誇らしげに1玉だけ突き出ている光景を目にします。苗の植え付けから収穫までにおよそ15〜18か月という長い歳月を要し、1株から原則として1玉しか収穫できない極めて手のかかる作物です。
果実の構造も極めて特殊です。パイナップル表面に見られる無数のウロコのような網目模様は、その1つひとつが独立した「1輪の花の跡」です。開花期になると茎の周りに紫色の小さな花が100〜200個ほど螺旋状に咲き、それらの子房が成熟する過程で互いに融合・肥大化して、1つの塊となります。植物学上、こうした形態は「集合果(複果)」と呼ばれ、私たちが普段食べている黄色い果肉は、何十個もの果実が合体した結晶そのものです。
ここで気になるのがパイナップルの名前の由来です。英語の「Pineapple」は、松かさを意味する「Pine(パイン)」と、かつて果実全般やりんごを指していた「Apple(アップル)」が組み合わさって誕生しました。外見が松ぼっくりに酷似し、風味がリンゴのように芳醇で甘美であったことから名付けられたと記録されています。一方で、フランス語やドイツ語、スペイン語、ロシア語など世界の大半の言語では、先住民族トゥピ語の「優れた果実」を意味する「ナナ(nana)」に由来する「アナナス(Ananas)」の名で親しまれています。