主役の座に目を向けると、スマートな天才肌とは一線を画す、圧倒的な熱量と生存本能で物語を牽引する主人公たちが際立ちます。
その代表格が、『ゴールデンカムイ』の主人公である杉元佐一です。「不死身の杉元」と恐れられた日露戦争の帰還兵であり、どれほど致命傷を負っても泥を啜りながら立ち上がる驚異のタフネスを誇ります。しかし彼の本質は、単なる暴力装置ではありません。アイヌの少女・アシㇼパと行動を共にし、異文化を尊重しながらヒンナと舌鼓を打つ素朴さや、戦友への義理を果たすために黄金を追う一途な情愛を持っています。極限の殺気とコミカルな愛嬌を同居させたキャラクター造形は、人間味あふれるすから始まるアニメの主人公として高い評価を得ています。
また、週刊少年チャンピオン発の快作『魔入りました!入間くん』の鈴木入間(すずき いるま)も外せません。極度のお人よしで断れない性格ながら、魔界での過酷な試練を「圧倒的な危機回避能力」と「他者を包み込む善性」で乗り越えていく姿は、現代的なヒーロー像として小中学生から大人のアニメファンまで確固たる支持を築いています。
ハードボイルドアニメの最高峰『カウボーイビバップ』のスパイク・スピーゲルも、名字はスピーゲルですがファーストネームが「す」から始まるレジェンド主人公です。ブルース・リーを思わせるジークンドーの体術、煙草をくゆらせながら「夢を見ているのさ」と呟く虚無感とダンディズムは、国内外問わず現在もカルト的な人気を誇るマスターピースです。