初心者が二点透視図法を描く際に最も陥りやすい失敗は、「キャンバスの枠内に2つの消失点を両方とも配置してしまうこと」です。作画用紙の中に2つの点を打つと、画角が広角レンズ(魚眼)の限界値を超え、手前の角が不自然に尖った鋭角な箱になってしまいます。
自然で狂いのない立体空間を立ち上げるための具体的な手順は、以下の通りです。
まず最初に行うのがアイレベルの決め方です。アイレベルとは「カメラのレンズの高さ」、あるいは「観測者の目の高さ」を意味する1本の水平線(Horizontal Line: HL)です。キャラクターが立っている視点ならアイレベルは地面から約150cm、椅子に座った視点なら約110cm、地面スレスレのローアングルなら数十cmに設定します。この水平線の高さが、画面全体の天地の力関係を統括します。
次に決定するのが消失点の位置と距離です。プロの現場における鉄則は、「左右どちらか一方、あるいは両方の消失点をキャンバスの枠外に大きく逃がす」ことです。人間の自然な視野角は約60度とされており、用紙の横幅の2倍から3倍以上の間隔を2点間に確保することで、肉眼で見たときと同じ落ち着いた空間が生まれます。
この2点が確定したら、基本単位である立方体のパース書き方へ移行します。
1. アイレベルと交差する位置、あるいは上下の任意の位置に「手前の角」となる垂直線を1本引きます。
2. 垂直線の上端と下端から、左右の各消失点(左消失点:LVP、右消失点:RVP)へ向けて直線(パースライン)を結びます。
3. 左右それぞれのパースラインを垂直線で区切り、左右の側面の幅を決定します。
4. 決定した側面の角から、反対側の消失点へ向けて交差するように補助線を伸ばします。
5. 線が交わった部分を結べば、歪みのない完璧な立方体が完成します。
この立方体こそがすべての造形の基本単位(バウンディングボックス)であり、机も建物も人体すらも、この基本ボックスの内側に内包させることで空間のスケールが保証されます。