SNSや園芸コミュニティ、Q&Aサイトを定点観測すると、「支柱を立てたのにつるが一向に巻きつかない」「先端がダランと垂れ下がってしまう」という悲痛な声が毎年6月から7月にかけて急増します。この朝顔つる巻かない理由を検証すると、栽培者の技術不足というより、用具の選定ミスと植物ホルモンの性質への無理解が原因の大半を占めていることが判明しています。
第一の物理的要因は、「支柱の太さと表面の滑らかさ」です。朝顔の接触屈性が最も鋭敏に反応するのは、直径5mmから15mm程度の、適度なザラつきや節がある支柱です。デザイン性を重視した表面がツルツルの金属ポールや、直径が30mmを超える極太の塩ビパイプなどをあてがうと、つるの接触面が滑ってしまい、細胞に十分な接触刺激が伝わりません。その結果、つるは支柱を「障害物」として認識できず、巻きつくことなく宙を泳ぎ続けてしまうのです。
第二の生理的要因は、「窒素肥料の過多によるつるボケ」です。植物を早く大きくしたい一心で、市販の油かすや窒素(N)比率の高い液体肥料を過剰に投与すると、茎ばかりが異常に太く柔らかくなり、つるとしての弾力と回旋運動能力が失われます。さらに葉ばかりが茂って花芽がつかなくなる現象が現場で多発しています。
第三の環境要因として、朝顔支柱立てるタイミングの遅延が挙げられます。草丈が40cm以上になってつるが地面を這い、自重で先端が垂れ下がってしまうと、植物は重力方向を誤認識して回旋運動が鈍化します。つるの先端が上を向いて元気に旋回できる初期段階で垂直の足場を用意してあげることが不可欠です。