給食が食べられる店を訪れる際、多くの人が陥りがちな「3つの大きな誤解」が存在します。ここを事前に把握しておかないと、現地で肩透かしを食らうことになりかねません。
第1の誤解は、「給食のメニューは全国民共通である」という思い込みです。最も典型的な例がソフト麺(正式名称:ソフトスパゲティ式めん)です。ソフト麺は1960年代に東京都の学校給食会が採用したことを契機に、主に関東・東海地方を中心に普及しました。そのため、北海道や東北の一部、そして近畿・九州の多くの地域で育った人々にとっては「給食で一度も見たことがない未知の食べ物」です。出身地が異なる同僚やパートナーと来店すると、「懐かしい!」と共感し合うはずが「え、これ何?」と微妙な温度差が生まれる原因になります。
第2の誤解は、「当時のまずさ・チープさまで完全再現されている」という錯覚です。昭和から平成初期の給食には、独特の臭みがあった脱脂粉乳や、パサついて冷え切った食パン、スジの多い肉など、お世辞にも洗練されていない部分がありました。しかし現在の店舗で提供されている料理は、衛生基準をクリアした近代的な厨房で、良質な小麦粉や新鮮な植物油、国産の豚肉を使って丁寧に調理されています。そのため、実際に口にすると「昔より格段に美味しくて、上品な洋食に近い」という逆転現象が起こります。「あの泥臭いチープな味が好きだった」という過度な期待を抱いていると、洗練されすぎていることに違和感を覚える場合があるのです。
第3の盲点は、価格に対する価値観の衝突です。「当時の給食費は月額数千円、1食あたり250円〜300円程度だったのに、なぜランチで1,500円もするのか」という原価計算ベースの不満を漏らす声がネット上に時折見られます。しかし給食店舗の代金には、廃番となったアルミ食器の調達費、教室の内装維持費、スタッフが「先生」や「直売所の係員」として振る舞う人件費といった「タイムスリップ代」が含まれています。純粋な定食の原価ではなく、エンターテインメント体験への入場料を含んだ価格であることを理解しておく必要があります。