街中や職場で「What's up?(ワッツアップ/ワッサップ)」と声をかけられた際、反射的に「I'm fine!」と答えてしまう日本人は後を絶たない。しかし、ネイティブスピーカーにとってこの返答は、「今日のお昼は何を食べた?」と聞かれて「元気です!」と答えているような強烈な違和感を与える。
このズレが生じる根本的な原因は、疑問詞の構造にある。「How are you?」が状態を尋ねる疑問詞「How」で始まっているのに対し、「What's up?」は「What is up?」の短縮形であり、主語は「What(何)」だ。直訳すれば「何が上(表面)に上がってきているか」、すなわち「何が起きているか」「何か新しいニュースはあるか」という意味合いを持つ。したがって、状態を表す形容詞「fine」で受けること自体が、文法構造上破綻しているのだ。
英会話スクールのネイティブ講師陣への取材調査によると、日本人受講生の約7割が初期段階でこの返答ミスを経験しているという。「What's up?」の本質は、相手の健康診断ではなく、会話のきっかけ作り(アイスブレイク)や、単なる「ヘイ」という声かけにすぎない。まずは「I'm fine」の呪縛を解くことが、自然な英会話への第一歩となる。