秋が近づくと、雌株の枝には鮮やかな赤色をした美しい実が無数に実ります。その見た目はマイクロトマトや南天の実を彷彿とさせ、家庭菜園の利用者からは「この実は食べられるのか」「ジャムや果実酒に加工できないのか」という声が頻繁に寄せられます。しかし、ここには明確な健康リスクが潜んでいます。
アスパラガスの赤い実の毒性の真相について、農業試験機関や毒性学の知見を総合すると、実にはステロイド系サポニン(アスパラゴシド等)や微量のアミノ酸誘導体が濃縮されています。人間が誤って口にすると、激しい胃腸障害、激しい嘔吐、腹痛、下痢を引き起こす恐れがあります。致死性の猛毒とまでは言えないものの、消化器官が未発達な乳幼児や、好奇心で噛んでしまう愛犬・愛猫などのペットにとっては危険な毒物です。美しい赤色は鳥を惹きつけて種子を散布させるための自然のトラップであり、人間が決して口にしてはならない部位です。
では、開花期の「アスパラガスの花は食べられるのか」という点についてはどうでしょうか。高級レストランのエディブルフラワー(食用花)ブームに伴い、料理のあしらいとして試みるケースが散見されます。アスパラガスの花自体には実ほどの高濃度毒素は確認されておらず、微量をサラダに散らした程度で重篤な中毒を起こす可能性は極めて低いとされています。ただし、味は淡白でわずかに青臭く、食感も際立たないため、わざわざリスクを冒して食材として流通させる実用性は皆無です。食用として育てる新芽以外の部位は、基本的に口にしないのが農学的な鉄則です。