乃木坂46の1期生としてグループ黎明期から中心を担った橋本奈々未が芸能界に入った動機は、華やかなスポットライトへの憧れではなく、極めて現実的な生活苦でした。美術大学へ進学するために上京したものの、実家の経済状況が急変。仕送りが途絶え、食費を切り詰めて1日おにぎり1個で過ごす過酷な学生生活の中で、ロケ弁が出るという理由からオーディションに応募したエピソードは広く知られています。
アイドル活動を続ける最大の原動力となったのは、弟の大学進学費用を賄うことでした。2016年秋のテレビ番組『乃木坂工事中』やラジオ番組で語られた通り、弟が無事に大学へ進学し、学費免除のめども立ち、母親から「無理しないで、これからは奈々未の好きなことをしなさい」と手紙を受け取ったことが、引退を決意する決定打となりました。
加えて、持病の腰痛や度重なる体調不良と戦い続けていた背景もあり、家族を支えるという使命を果たした彼女にとって、芸能界に留まり続ける理由は残されていませんでした。「自分の人生を自分で歩む」という強い覚悟が、電撃引退という潔い幕引きを選ばせた本質と言えます。