大相撲の行司における最高位「立行司」には、定員2名という厳格な枠が定められています。その2名こそが木村庄之助と式守伊之助ですが、両者の間には明確な序列が存在します。
筆頭にして最高峰に位置するのが木村庄之助(首席)です。本場所では結びの一番のみを裁くことが許され、行司界の最高権威として君臨します。これに次ぐのが式守伊之助(次席)で、結び前の2番を裁く役割を担います。大相撲の番付において東が上位、西が下位とされるのと同様に、原則として庄之助が東、伊之助が西に位置づけられます。
両者の違いは、土俵上で身にまとう装束の意匠にもはっきりと現れています。装束(直垂)の各所にあしらわれる菊綴(きくとじ)や房(ふさ)の色に厳密な格付けがなされているのです。
木村庄之助の房色は「総紫(純粋な紫一色)」であり、これは行司界でただ一人だけに許された最高位の証です。対して式守伊之助は「紫白(紫と白の混合)」を用います。遠目に見ると似ているように映る装束も、房の色を確認すれば瞬時にどちらの立行司であるかを判別できます。
さらに、両家には歴史的な軍配の握り方(構え)の違いがあります。木村家は掌を下に向けて上から軍配を握る「陰の構え」をとるのに対し、式守家は掌を上に向けて下から支えるように握る「陽の構え」を伝統としています。土俵上の所作一つひとつに、数百年にわたり受け継がれてきた家風と格式が刻まれています。