一方で、現代の地球環境変化がこの貴重な文化遺産を容赦なく追い詰めている。世界的な海面上昇と激化する暴風雨により、海岸線沿いに佇むアウ(台座)の崩落リスクが急上昇しているのだ。
特にアハゥ・トンガリキをはじめとする沿岸部の有名遺跡では、高波が台座の基盤を削り取り、海水による塩害で石の表面が剥離する現象が顕著になっている。ラパ・ヌイの現地自治組織とユネスコは、防波堤の設置や特殊な保護剤の塗布といった緊急対策に乗り出しているが、予算と資材の不足は深刻だ。文化財の保全と地球温暖化という現代的課題が、この孤島で激しく交錯している。