本作の制作を主導したのは、監督の高畑勲と場面設定・画面構成を担当した宮崎駿の黄金コンビである。当時、ズイヨー映像が制作を手がけ、フジテレビ系列で放送された『アルプスの少女ハイジ』は、日本のアニメ史における決定的な転換点となった。
当時のクリエイター陣は、圧倒的なリアリズムを追求するためにスイス現地へロケハン(現地取材)を敢行した。本物のヤギの動き、骨格、そして気まぐれな立ち振る舞いを徹底的に観察。ただ「可愛いキャラ」として描くのではなく、家畜としてのリアルな生命感や、時に頑固な習性までをも画面に定着させた。
この緻密な職人技は、その後の日本のアニメーション産業全体の底上げに大きく寄与することになる。本作で培われた地道な生活描写と徹底した取材主義のノウハウは、後に続く「世界名作劇場」シリーズの揺るぎない礎となったのだ。