小劇場での圧倒的な噂を聞きつけた映画人たちは、こぞって我王銀次をスクリーンへと引き入れました。中でも彼の映画代表作として今なお国内外で語り草となっているのが、北野武監督の第2作『3-4X10月』(1990年公開)です。
本作で我王銀次が演じたのは、沖縄へ拳銃を調達しに向かった主人公(柳憂怜)たちの前に立ちふさがるヤクザの組員・金井役でした。ビートたけし演じる破滅的なヤクザ・上原の乾いた凶暴性と対峙しながら、淡々とした日常の空気から突如として理不尽な暴力を炸裂させる演技は、北野映画特有の「静と動」の不気味な緊張感を極限まで高めました。北野監督自身も、彼の持つ「ただ立っているだけでフレームの中に危険な匂いを充満させる天性の佇まい」を高く評価していました。
さらに若松孝二監督の骨太なアクションドラマ『われに撃つ用意あり』(1990年)や、哀川翔主演の人気シリーズ『ファンキー・モンキー・ティーチャー2 東京進攻大作戦』(1992年)の銀行員の上司役など、バイオレンスからコミカルな役柄まで自在に演じ分けるバイプレイヤーとして、その需要は急拡大していきました。