本作を語る上で欠かせないのが、ジャンルを横断する巧みな語り口だ。上質なヒューマンドラマとしての深みを持ちながら、視覚と食欲を刺激するグルメドラマの要素もしっかりと兼ね備えている。一杯の珈琲と、それに寄り添う季節の手作りスイーツ。それらが登場人物たちの解きほぐせない頑なな心を、じわじわと解かしていく。
過度なドタバタ劇を排除し、静かな会話劇と環境音で魅せる日常系作品の最高峰。派手なアクションや劇的な愛憎劇に疲れた視聴者にとって、この作品が提示する「何気ない日常の尊さ」は、まさに求めていた癒やしそのものだったのだ。