物語が後半へと差し掛かるにつれ、視聴者が注目したのはキャストのリレーシップだった。青春期の激動を駆け抜けた田中裕子から、晩年の重厚な苦難を演じる大女優・乙羽信子へのバトンタッチ。この二人のバトンリレーは、テレビドラマ史上最も成功した配役の入れ替えとして語り継がれている。
田中裕子が作り上げた「内に秘めた力強さ」を、乙羽信子が「人生の深みと慈愛」へと見事に昇華させた。仕草の癖や眼差し、声のトーンに至るまで、同一人物の人生の軌跡を感じさせる巧みな演技のシンクロ。二人の名女優が織りなしたこの重奏は、視聴者に「一人の人間が確かに生きた証」を強烈に印象付けた。