日本国政府の司令塔である内閣官房。その中枢で長年にわたり積み重ねられてきた政策決定プロセスには、外部からは伺い知れない特有の力学が働いている。通常、法案や国家戦略は各省庁の折衝を経て閣議決定に至るが、今回発覚した重要案件においては、特定のアドバイザーと一握りの官僚によって構成される密室の検討会が実質的な決定権を握っていた。
省庁間の縄張り争いを回避するという名目のもと、内閣官房の主導で進められた手法は、迅速な意思決定を可能にする一方で、国会での議論や国民への開示を事実上骨抜きにするリスクを孕んでいた。政策の原案がどこで作成され、どの時点で政治的取引の材料にされたのか。不透明な決定過程が日常化することで、行政の透明性という民主主義の根本が損なわれかねない現状が、関係者の証言によって浮かび上がってくる。