自宅でバーの味!透明な氷の作り方と濁る理由をプロが徹底解説

自宅でバーの味!透明な氷の作り方と濁る理由をプロが徹底解説

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家庭の冷凍庫で作った氷を取り出したとき、外側はうっすら透き通っているのに中心部だけが真っ白に曇っている光景は誰もが目にしたことがあるはずです。この氷が白く濁る決定的な理由は、水に溶け込んでいる目に見えない「空気(溶存気体)」と、カルシウムやマグネシウムなどの「微量ミネラル成分」にあります。

水は凍結する際、水分子(H₂O)同士が規則正しく結合して純度の高い結晶格子を形成しようとする性質を持っています。その過程で、水分子以外の異物である空気やミネラルは、結晶の外側へと押し出されていきます。一般的な製氷皿をマイナス18℃前後の家庭用冷凍庫に入れると、四方八方から一気に冷気が当たり、外側の表面から急速に凍り始めます。逃げ場を失った気泡や不純物はどんどん中心部へと追い詰められ、最終的に中央部で身動きが取れなくなって固まります。光がこの微細な無数の気泡に当たって乱反射することで、人間の目には白く濁って見えるのです。

対照的に、街の氷屋(製氷業者)が作るプロ仕様の角氷が驚くほど透明なのは、緩慢凍結の原理と温度管理を徹底しているからです。製氷工場では「アイス缶」と呼ばれる大型容器をマイナス10℃前後のブライン液(凍らない不凍液)に浸し、48時間から72時間という膨大な時間をかけて攪拌用の空気を送り込みながら、下から上、あるいは一定方向へ極めてゆっくりと水を凍らせます。水流によって気泡を絶えず水面へ逃がしながら一方向に凍らせることで、純度99.9%以上の気泡を含まない結晶ブロックが生み出されるのです。

家庭で透明氷を目指す場合も、この自然現象のメカニズムを再現することが不可欠となります。すなわち、「冷気を受ける面を限定して一方向から凍らせること」と「過度な急冷を避け、できる限り時間をかけて結晶化させること」が、失敗しないための絶対条件となります。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。