オカルトとして片付けられてきた因果応報の現象に、現代の脳科学と認知心理学が明確なロジックを与えている。人間の脳、特に情動を司る大脳辺縁系や扁桃体は、「誰が」その感情に向けられているかという主語を正確に認識するのが極めて苦手だ。誰かに対して猛烈な怒りや怨念を抱いた瞬間、脳内では自己と他者の境界が曖昧になり、自分自身がその攻撃的なストレスに晒されていると勘違いしてしまう。
誰かの不幸を強く祈るとき、体内ではストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンが大量に分泌される。これが慢性化すると、自律神経のバランスは崩壊し、免疫機能の低下や睡眠障害、心血管系への深刻なダメージを引き起こす。相手を倒すために投げた毒薬を、投げつける前に自ら飲み干しているような状態だ。科学が証明する呪いの正体とは、脳と自律神経がもたらす極限の生体ストレスに他ならない。