国語辞典の記述を紐解くと、この言葉が持つ本来の輪郭がより鮮明になります。岩波書店の『広辞苑』や小学館の『デジタル大辞泉』、そして言葉の現代的な使われ方に定評のある『三省堂国語辞典』を引いても、見出し語として掲載されているのは例外なく「はんようせい(汎用性)」です。
オンラインの知の集積地である『コトバンク』や『goo辞書』などのポータルサイトでも、「汎用」の項目には「広く色々の方面に用いること」と明記されており、「ぼんよう」という読みは誤りであると注意書きが添えられているケースも目立ちます。近代言語学の父である金田一京助らが情熱を注いだ辞書編纂の歴史を振り返っても、「汎」の音読みは「ハン(漢音・呉音)」一択であり、歴史的にも言語構造的にも「ぼん」と読む根拠はどこにも存在しません。
文字情報があふれる現代だからこそ、定評ある辞書の定義に立ち返り、言葉の根底にある規範を確認する姿勢が求められています。