愛らしい鳴き声とは裏腹に、捕食者としての戦闘能力は極めて凶暴かつ冷徹です。ハクトウワシの最大の武器は、獲物を文字通り圧殺する驚異的な「握力」にあります。
生物力学の研究データによると、ハクトウワシの足指が生み出す握力は約400 psi(重量ポンド毎平方インチ)以上と推定されています。これは人間の一般的な成人男性の握力の10倍以上に匹敵し、大型犬の咬合力をも凌駕する数値です。指先には湾曲した長さ5cm以上の鋭利な鉤爪(タロン)が備わっており、この力で掴まれた魚や小動物は、骨を粉砕されて即座に致命傷を負います。
その食性は、名前に「ウミワシ(Sea Eagle)」の系統を引く通り、魚類を中心とした肉食性です。水面近くを泳ぐサケ、マス、ニシンなどを、飛行しながら水中に脚だけを突き入れて正確無比に引っ掛け捕らえます。魚のほかにも、カモなどの水鳥、ウサギやリスといった小型哺乳類もターゲットとなります。
一方で、彼らには「日和見主義のハンター」という現実的な一面もあります。自ら狩りをするだけでなく、ミサゴ(魚鷹)が捕まえた魚を空中戦で脅し取ったり、動物の死骸(ロードキルや魚の死骸)を食べるスカベンジャー(腐肉食)としての行動も日常茶飯事です。無駄なエネルギー消費を避け、確実に栄養を摂取するための高度な生存戦略がそこにあります。