バズ・ライトイヤーの背面を語る上で外せないのが、スペース・レンジャーの機動力を支えるジェットパックユニットと、そこに内蔵されたシステムスイッチ群です。映画本編の設定資料および公式トイのプロップ解析によると、背部のバックパックは単なる飾りではなく、明確なモジュール構造として設計されています。
まず目を引くのが、左右に大きく展開する翼(ウィング)の収納スロットです。胸元の大型丸ボタン(赤色)を押すことでスプリングによって瞬時に飛び出す機構は、背面の四角いハードシェル内部に高張力バネとギアリンクが収まるスペースが確保されています。翼の先端には赤と緑のナビゲーションライトが備わり、航空力学に基づいた左右非対称のカラーリング(右舷:緑、左舷:赤)が施されている点も見逃せません。
さらに物語上の重要ギミックとしてファンに知られているのが、背面の設定スイッチです。『トイ・ストーリー3』においてロッツォたちによって操作された「PLAY(通常モード) / DEMO(店頭デモモード)」の切り替えスライドスイッチ、そして極小のピンホールで操作する工場出荷状態へのリセットボタンは、ジェットパックを外した本体背部、またはバックパックの隙間に巧妙に隠蔽されています。ピクサーのアニメーションチームは、おもちゃとしての説得力を持たせるため、誤操作を防ぐカバー構造やネジ止めの位置までミリ単位でCGモデルを作り込んでいます。
そして背面の最下部に位置するのが、四角い電池カバー(バッテリーコンパートメント)です。ここにはフィリップス型(プラス)ネジによる脱落防止構造が描かれており、表面には「MADE IN TAIWAN」の陰刻や、玩具安全基準を示すマークがリアルに刻まれています。自身を「本物のスペース・レンジャー」と信じ込んでいた第1作目のバズが、左腕の通信パネルを開いて「MADE IN TAIWAN」の文字を目撃し、自身がおもちゃである現実に直面する衝撃的なシーンの伏線は、まさにこの背面の電池カバーの工業的意匠と地続きになっています。